ハチミツとクローバー

ハチクロの結末

ハチクロの結末

羽海野チカさんの漫画『ハチミツとクローバー』(通称ハチクロ)は、数ある漫画や映画のなかでも、特に結末が好きな作品の一つです。

タイトルの「ハチミツとクローバー」の意味が、ラストで一つに結実し、また、決して主人公の竹本くんにとってはハッピーエンドではないかもしれないものの、それでも、はぐちゃんとの結末を泣きながら肯定する、という最後のシーンが、自分自身、幾度となく励まされます。

以下、ざっくりとハチクロの10巻の結末に向かっていく展開を紹介したいと思います。

怪我をしたはぐちゃんは、花本先生(修司)と一緒に生きることを選び、はぐちゃんのことを好きだった竹本くんと森田さんは、はぐちゃんのことを諦めることになります。

芸術的な感性で通じ合っているはぐちゃんと森田さんは、「一緒にあがこう」という約束をし、森田さんはピーターの会社へ。

野宮さんは、山田さんに真っ直ぐ「一緒にいよう」と告白し、二人の道を歩き出します。

竹本くんは、大学を卒業後、盛岡に就職します。盛岡へ出発の日、新幹線に乗ろうとしたとき、はぐちゃんが現れ、手渡したのは、サンドイッチでした。

新幹線に乗りながら、そのサンドイッチを食べようとパンの中身を見ると、蜂蜜のなかに四つ葉のクローバー。サンドイッチをめくるたびに、四つ葉のクローバーが、何枚も、何枚も。

オレはずっと考えてたんだ
うまく行かなかった恋に 意味はあるのかって

消えて行ってしまうものは
無かったものと同じなのかって…

今ならわかる
意味はある

あったんだよ ここに

出典 : 羽海野チカ『ハチミツとクローバー』

タイトルにあるハチミツとクローバー。このタイトルは、羽海野チカさんが好きだったスピッツの『ハチミツ』と、スガシカオさんの『Clover』に由来します。物語の骨格を考えているあいだ、ずっと聴き続けていたそうです。

羽海野チカ『ハチミツとクローバー〈10〉』

ハチクロの結末は、個人的には好きで特に違和感もないのですが、一方で、「気持ち悪い」といった否定的な声もあります。

ハチクロの結末が気持ち悪いと感じる理由としては、これまでずっとはぐちゃんの恋愛に関しては竹本くんと森田さんが主軸だったのに、突然、父親的な存在だった花本先生と一緒になる、という急展開に対する違和感があるようです。

また、はぐちゃんの側も花本先生に対して恋愛感情があるわけではなく、自分の芸術のために花本先生が必要だから彼を選んだ、という点に違和感を持っているという意見も見られます。

確かに、純粋に恋愛ということを主軸にした視点から言えば、すっきりしない結末という見方もできるのかもしれません。

この辺りは難しく、あの最後になんの違和感もない、という人もいれば、気持ち悪さが残る、という人もいるなど、それぞれの捉え方になるのでしょう。