『平成狸合戦ぽんぽこ』の舞台

ジブリ映画『平成狸合戦ぽんぽこ』は、1994年に公開。高畑勲監督が、脚本も務めた「たぬき」が主人公の物語です。
物語の時代背景は昭和40年代、舞台は、多くの狸たちが平和で愉快に暮らしていた多摩丘陵です。
その多摩丘陵に、多摩ニュータウンの建設の手が伸び、破壊が迫っていました。
多摩丘陵は、遠い昔から生き物たちの楽園でした。明るい樹林地、草地、畑・田や水辺といった多様な自然環境に恵まれて、数百種を越える植物たちを基盤として、多くの小動物、鳥類、昆虫類たちが多様で豊かな生態系を形成していました。
しかし、1960年代半ばから始まった開発の嵐によって、20年あまりの間に丘は削られ谷戸は埋められて市街地化し、河川・池沼改修によって水辺はコンクリートで固められ、豊かだった自然環境のおよそ90%以上が消滅していきました。
その破壊から、わが町を守ろうと、ある日、狸たちは結集し、総会を開いて開発阻止を決議します。
狸たちは、伝統的変化術の化学(ばけがく)を復興、四国や佐渡の狸たちにも支援を要請、人間たちとの戦いに備えます。
数年間の狸たちと人間の戦いののち、開発は阻止できず、最後、狸たちは、人間たちに化けてサラリーマンとして暮らすことになってエンディングを迎えます。
壮大なファンタジーではありませんが、狸たちのユーモアと哀愁が魅力のジブリ作品です。
この舞台となった地域は、実際、多摩ニュータウンとして今でも存在します。
多摩ニュータウンは、日本最大規模の開発地域で、多摩センターや堀内、南大沢、若葉台など、東京都稲城市・多摩市・八王子市・町田市にまたがる一帯です。
ちなみに、『狸合戦ぽんぽこ』作中で狸たちの拠点となる菩提餅山万福寺の舞台は、東京都八王子市にある龍生寺阿弥陀堂です。
画像 : 平成狸合戦ぽんぽこの舞台になった龍生寺阿弥陀堂を訪問
その他、『平成狸合戦ぽんぽこ』に関する、細かな舞台やロケ地巡りについては、「ロケ地紹介:多摩丘陵」がとても詳細に写真も紹介されています。