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『平成狸合戦ぽんぽこ』のタイトルの由来

『平成狸合戦ぽんぽこ』のタイトルの由来

ジブリのアニメで、なんとも言えないゆるいタイトルの『平成狸合戦ぽんぽこ』。

監督は高畑勲監督、公開は1994年(平成6年)。

ぽんぽこは、多摩丘陵を舞台に繰り広げられる人間とタヌキたちの戦いの模様を描いた物語です。

『平成狸合戦ぽんぽこ』の舞台「多摩丘陵」『平成狸合戦ぽんぽこ』の舞台「多摩丘陵」 ジブリ映画『平成狸合戦ぽんぽこ』は、1994年に公開。高畑勲監督が、脚本も務めた「た...

今回は、この不思議な名前、『平成狸合戦ぽんぽこ』のタイトルの由来を紹介したいと思います。

『平成狸合戦ぽんぽこ』タイトル完成まで

タイトルのアイデア自体は、結構すんなりと決まったようです。

まず、タイトルを考える際に、昔話に出てくる「狸合戦」という言葉が浮上しました。

これは、もともとタヌキの物語をつくる、というアイデアを高畑勲監督が提案した際に本来作品化したかった「阿波の狸合戦」のことです。

高畑監督は「日本独自の動物、狸の映画がないというのは、日本のアニメーション界がさぼってきた証拠だと思いませんか」と指摘し「もし作るとしたら四国が舞台の狸話『阿波の狸合戦』を取り上げたらいい」と、語ったという。

出典 : 『ジブリの教科書 平成狸合戦ぽんぽこ』

次に、高畑監督は、ばかばかしさを感じさせる「平成」というフレーズを入れましょう、と提案します。

こうして『平成狸合戦』というタイトルがひとまず決定します。

ところが、その題名に、日本テレビのプロデューサーでジブリとも深い関係にある奥田誠治さんが、ぼそっと一言つぶやきます。

「高畑作品にはいつも“ほ”の字が入りますけど、今回はないんですね」

高畑監督の作品で、ぽんぽこ以前に“ほ”の字が入っているのは、『太陽の王子 ホルスの大冒険(1968年)』、『火垂るの墓(1988年)』『おもひでぽろぽろ(1991年)』です。

; font-size: 12px;”>*ちなみに次の作品の『ホーホケキョ となりの山田くん(1999年)』も入っています。

その奥田さんの指摘をもとに高畑監督は「ぽんぽこ」という言葉を足し、『平成狸合戦ぽんぽこ』というタイトルが完成します。

タイトルに井上ひさしさんと宮崎駿監督は大反対

このゆるいタイトルには後日談的なエピソードがあります。

作品のアイデアを探す際にお世話になった作家の井上ひさしさんが、ぽんぽこのシナリオを見て、感想を鈴木さんに話しました。

それは井上さんが編集委員の一人を務める雑誌の創刊記念パーティーの席でした。

井上さんは、作品の中身については非常にいい、としながらも、「ただ一つ、タイトルがよくない」と鈴木さんに言います。

その井上さんの言葉を隣で聞いた宮崎監督も、「井上さんもそう思いますか!」と割り込み、二人で鈴木さんを壁際に追い込み、タイトルについて延々喋り続けました。

あれにはほんとに困った、と鈴木さんは振り返ります。

しかし、そんな二人の忠言を拝聴しつつも、やはりタイトルはそのまま『平成狸合戦ぽんぽこ』になりました。