蒼井優と岩井俊二
これまで友人らとの会話で、好きな芸能人は誰かと訊かれるたびに、「蒼井優」と答えてきました。
女優の蒼井優さんの魅力は、若者特有の儚い可憐さと、それでも生きていこうとする凛とした力強さが共存し、今にも崩れ落ちそうなまま、永遠に立っていられるような不思議な存在感にあるのではないでしょうか。
どの映画で見ても、その演じる役柄に寄せつつも、蒼井さん特有の儚さと確かな存在感が感じ取れます。
また、映画監督の岩井俊二さんの作品が好きなのですが、この岩井俊二映画に、蒼井優さんがよく出演しています。
ここでは、岩井俊二映画の蒼井優出演作一覧を紹介したいと思います。
①『リリイ・シュシュの すべて(2001年)』
誰もが書き込みができるインターネット掲示板を用いた実験的な小説をもとに制作された映画『リリイ・シュシュのすべて』。
リリイ・シュシュの熱狂的なファンであるサティという人物が掲示板に書き込み(その文章や、一部の人物の文章は岩井俊二監督自身によって書かれるのですが)、物語が進行。掲示板は一般にも開放され、誰でも書き込みが可能で、そこに書かれた見知らぬ人たちの書き込みも小説に登場する、という不思議な作品。
この掲示板は、現在も存在します(http://www.lily-chou-chou.jp/holic/bbs/)。
インターネット小説終了後、岩井俊二監督の手で映画化。物語は、田園の広がる地方都市の鬱屈とした世界と、その町に暮らし壊れていく中学生たち、そして彼らの心を唯一癒すカリスマ的女性歌手リリイ・シュシュ。
主人公でいじめられていた蓮見雄一を市原隼人さんが、友人だったものの夏休みに会社が倒産し、家族の離散後態度が変貌、不良グループのリーダー格になる星野修介を忍成修吾さんが、そして蓮見のクラスメイトの津田詩織役を蒼井優さんが演じています。
岩井俊二『リリイシュシュのすべて』
②『花とアリス(2004年)』
映画『花とアリス』は、Web版で公開されたショートームービーをもとに制作された2004年公開の長編映画。
中学生の頃からの親友である花(荒井花)とアリス(有栖川徹子)、そして入学した高校の先輩宮本雅志との三角関係を巡る物語で、花の役を鈴木杏さんが、アリス役を蒼井優さんが演じています。
美しい光と岩井俊二監督が手がけたサントラの波長が合い、魅惑的な映像で、思春期の少女の切なくみずみずしい世界が描かれています。
画像 : 岩井俊二『花とアリアス』
③『虹の女神 Rainbow Song(2006年)』
岩井俊二プロデュース作品で、直接監督を務めたわけではありませんが、この『虹の女神』でも、蒼井優さんが重要な役柄を演じています。
④『ヴァンパイア(2011年)』
この『ヴァンパイア』は、岩井俊二監督作品で、海外の撮影、また外国人の俳優さんで固められていますが、日本人俳優として、蒼井優さんも出演しています。
岩井監督は、「花とアリス」以来約8年ぶりとなる蒼井とのタッグに「不思議な縁としか言いようがない。髪型以外はほぼ変化なしで、魂のど真ん中付近は変わらない。成長なしという意味ではなく、良い意味で」と称賛した。
蒼井も、「お会いする度に変態度が増していくので、監督の変態度は無限。ほめ言葉のつもり」と改めて尊敬の念。すると岩井監督も、「僕の変態部分に食いついてくるので、(蒼井も)それ相当に変態なのでは」と返し、厚い信頼関係をうかがわせた。
⑤『花とアリス殺人事件(2015年)』
岩井俊二監督が、アニメ版として制作した、『花とアリス殺人事件』。この作品の声優として、蒼井優さんが引き続き、出演しています。
以上のように、岩井俊二監督は、よく起用する女優として、蒼井優さんを相当重宝しているようです。
映画の初出演が、『リリイ・シュシュのすべて』だったことから、まさに女優蒼井優さんを発掘したのは、岩井俊二監督と言えるでしょう。
#01《リリイ・シュシュのすべて》二十年目の再会 市原隼人/蒼井優/伊藤歩/忍成修吾/岩井俊二 公開20周年記念スペシャルトーク